エアコンの室外機は資源として価値があります。古いエアコンは鉄くずとして売却可能ですが、法的なリスクも考慮する必要があります。
多くの場合、新しいエアコンの購入時には、古いものを店舗に下取りに出して新品に交換し、差額を支払うことが一般的です。でも、単に古いエアコンを処分したいだけの場合はどうすれば良いでしょうか?
家電リサイクル法の対象となるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の処分には費用がかかります。さらに、専門業者による取り外しや運搬にも高額な手数料が発生します。具体的には、リサイクル料が平均990円(商品によって異なる場合があります)と、取り外し及び運搬費用が平均で4,500円から7,000円程度かかります。
これらの費用を節約するために、自分でエアコンを取り外し、買取りや廃品回収を行う業者に依頼する手段もあります。自分で行うと取り外し費用がかからない上、廃品を無料で回収してくれる業者も存在します。
しかし、この方法は法的な問題が発生する可能性があるため、非常に微妙な立場にあります。どのような問題が生じるか、詳細にわたって検討する必要があります。
エアコンと室外機は売れるの?
エアコンと室外機は、壊れた後も金属スクラップとして価値があります。
動作しないエアコンにも、内部に含まれるアルミニウム、銅、鉄などの金属が再利用可能なため価値が存在します。これらの金属は鉄鋼工場で溶解され、新たな鋼材として再生されるため、市場では一定の需要が保たれています。
エアコンの買取や廃品回収を行う業者は、これらの金属をスクラップとして集め、さらにスクラップ販売業者に転売して利益を得ています。金属の買取価格は市場によって変動し、室外機とエアコン本体を合わせたスクラップとしての一般的な買取価格は約2000円程度です。
エアコンの回収業者を選ぶ際には注意が必要です。インターネットでは多くの業者が紹介されており、費用が安い業者や高価買取をうたう業者もいますが、中には適切な許可を持たずに不法に営業している場合もあります。
これらの業者に必要なのは一般廃棄物の収集運搬許可です。エアコンを解体する際にはフロンガスなどの環境に有害な物質が発生するため、これを適切に管理できる設備がなければ正式な営業許可が出ないのです。リサイクルや適切な廃棄にはコストがかかりますが、それに見合った設備投資が必要です。
不正を行う業者の中には、初めは無料であると宣伝し、後で高額な料金を請求するケースもあります。これらの業者は、適正な手順を踏まずに金属をスクラップとして販売してしまうことがあります。
エアコン処分費用の相場は?
知り合いの電気屋さんに、エアコンの処分にかかる費用について尋ねました。エアコンを適切に取り外し、処分する場合の一般的な料金はどれくらいなのでしょうか?
その電気屋さんは、個人でエアコンの設置や取り外しを行っていて、取り外し料金は通常5000円と設定されています。
取り外した室外機はスクラップとして売ることができますが、スクラップ業者での買取価格は室外機とエアコン本体合わせて2000円程度です。特に室外機のコンプレッサーにはアルミニウムや銅が多く使われており、それが買取価格に反映されますが、エアコン本体自体の価値は低いです。5000円で取り外しをして、2000円で売れるとしても、残る利益は3000円です。人件費や交通費を考慮すると、これは決して利益の大きなビジネスではありません。
また、銅の買取価格はネットでも確認でき、現在の価格は約1140円/kgです。室外機は約20~30kgの重さがありますが、その全てが銅でできているわけではありません。
スクラップ業者では、利用可能な金属を取り出す作業や、環境に害を与えないようにフロンガスを抜いて適切に処分する必要があります。これには適切な設備と労力が必要で、業者はそのコストを賄うために利益を確保しなければなりません。
この情報から、エアコンの取り外しにはそれなりの費用がかかるのが妥当であると理解できます。また、不透明な業態の業者ではなく、信頼できる適切な業者に依頼するのが望ましいです。
エアコンのリサイクルにはいくらかかる?
エアコンをはじめとする家電製品のリサイクルには、特定の費用が必要です。これを管理するために「家電リサイクル券」というシステムが設けられています。
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のリサイクルを効率的かつ環境に優しい方法で行うため、家電製品を製造するメーカーや大手家電店は、使用済みの製品を消費者から受け取ることが法律で義務付けられています。その際、指定されたリサイクル施設で処理されるため、消費者はリサイクル料金を支払う必要があります。
エアコンのリサイクル料金は990円(税込)とされていますが、他の家電製品では製造されたメーカーや製造年によって異なる料金が設定されている場合があります。詳細は家電リサイクル券センターの「リサイクル料金一覧表」を参照してください。
このリサイクル料金の支払いには2つの方法が存在します。
郵便局振込方式
この方法では、自治体または許可を受けた業者に直接家電を持ち込み、処分を依頼することができます。処分を依頼する前に、事前に郵便局でリサイクル券を購入し、その場で料金を支払います。支払いが完了したリサイクル券を持参し、処分場所へ持っていく必要があります。
リサイクル券には製品の大きさやメーカーを記入する項目が設けられています。また、リサイクル券に付属するシールを処分対象の家電に貼り付ける必要があります。このシールを貼る正確な位置は家電製品ごとに指定されているため、正しい位置に貼ることを確認してください。
家電販売店回収方式
この方式では、購入した家電製品の処分を購入店に依頼します。リサイクル料金は直接その販売店に支払われ、リサイクル券の記入も店舗側で行われます。
多くの大手家電量販店は、「RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター」に加盟しており、この方式を利用することが可能です。しかし、全ての小売業者がRKCに加入しているわけではないため、加入していない店舗で購入した場合は、郵便局振込方式を利用する必要があります。
家電リサイクル券センターの公式ウェブサイトでは、お住まいの地域を入力して指定取引場所を検索することができます。これにより、利用可能な回収方法を簡単に確認できます。
まとめ
古いエアコンを廃棄する際、自分で取り外してコストを削減する方法もありますが、最低限支払うべきリサイクル料金は990円となっています。
街中で「無料」と宣伝している廃品回収業者をしばしば見かけますが、これらの業者は許可を得ていない可能性があるため、エアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの処分には特に注意が必要です。
さらに、エアコンの買取を行う業者についても、査定額を慎重に確認することが重要です。故障して動かない製品に対して高い評価をする業者は、許可無しで解体し、スクラップとして転売している可能性が高いです。家電製品の環境に優しい適切な処理を心掛けましょう。